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乾燥肌・かゆみ

冬の空気は澄んで心地よく感じる一方で、肌にとってはとても過酷な季節です。
気温と湿度の低下、暖房による乾燥、血行の悪化などが重なり、皮膚の水分量が大きく減少します。
その結果、肌のバリア機能が弱まり、かゆみや粉ふき、ひび割れなどの「乾燥性皮膚炎」が起こりやすくなります。
これは、年齢や性別に関係なく多くの人が経験する「冬の典型的な不調」のひとつです。

◆乾燥肌が起こるメカニズム

皮膚は大きく分けて3層 ―― 表皮・真皮・皮下組織 ―― から成り立っています。
そのうち、乾燥と最も関係が深いのが「表皮の角質層」です。
この角質層には、水分を保持するための「天然保湿因子(NMF)」と「皮脂膜」、そして外的刺激を防ぐ「セラミド」などの脂質が存在します。

しかし冬は、空気の湿度が30%以下になることも多く、外気が肌の水分をどんどん奪っていきます。
さらに室内では暖房の影響で湿度が低下し、皮膚表面の水分蒸発が加速。
一方で、寒さによる血流低下が皮脂腺や汗腺の働きを鈍らせるため、「皮脂」や「汗」による保湿力も弱まります。
このようにして角質層が乾燥し、ひび割れやかゆみが生じるのです。

◆乾燥によるかゆみの正体

乾燥した肌は、表面が微細にひび割れ、そこから外部刺激(衣服の繊維や洗剤など)が侵入しやすくなります。
また、皮膚の神経がむき出しに近い状態になるため、ちょっとした摩擦や温度変化でも「かゆみ」を感じやすくなります。

さらに、「掻く → 炎症 → さらにかゆい →また掻く」という悪循環が起きやすくなります。
これが慢性化すると「皮脂欠乏性湿疹」「老人性乾皮症」などに発展することもあり、放置は禁物です。

◆乾燥を悪化させる要因

以下のような生活習慣が、冬の乾燥肌を悪化させる原因になります。

熱いお湯での長風呂・シャワー
 皮脂を過剰に落とし、肌のバリアを壊します。
 38?40℃のぬるめの湯で10?15分程度が理想です。

ボディソープの使いすぎ
 「強力洗浄」タイプや「すっきり泡タイプ」は皮脂を落としすぎます。
 肌が乾燥しやすい冬は、低刺激・保湿成分入りのソープを使用しましょう。

タオルでゴシゴシ拭く習慣
 摩擦が角質を傷つけ、乾燥と炎症を悪化させます。
 お風呂上がりはタオルを押し当てるようにして水分を取るのが◎。

暖房の使いすぎ
 室温が高くなると湿度が急低下します。
 エアコン使用時は加湿器を併用し、湿度50?60%を目安に保ちましょう。

◆肌の乾燥を防ぐケア方法

入浴後3分以内の保湿
 入浴後、肌がまだしっとりしている「3分以内」に保湿剤を塗ることが大切です。
 水分が蒸発する前に油分でフタをすることで、乾燥を大幅に防げます。

 おすすめ成分:
 - セラミド(角質のすき間を埋めて水分を保持)
- ヒアルロン酸・グリセリン(保湿)
- シアバター・ホホバオイル(皮脂膜を補う)

「重ね保湿」を意識する
 化粧水→乳液→クリームという順に保湿層を重ねることで、うるおいを逃さずキープできます。
 特に乾燥が強い部分(すね、肘、頬など)は、クリームやバームを重ね塗りすると効果的です。

部屋の湿度管理
 加湿器を使用するほか、濡れタオルを吊るしたり、洗濯物を室内干しするだけでも湿度を上げられます。
 理想の湿度は50?60%。乾燥しすぎるとウイルスも活性化するため、風邪予防にもつながります。

水分をしっかり補給
 冬は喉の渇きを感じにくいものの、肌の水分は体内からも供給されています。
 常温の水や白湯をこまめに飲むことで、体の内側からうるおいを支えましょう。

衣類の素材を選ぶ
 ウールや化学繊維の下に、綿素材のインナーを1枚挟むだけで刺激を軽減できます。
 特に肌が敏感になっているときは「綿100%」が安心です。

◆年齢とともに進む「皮脂分泌の減少」

加齢とともに皮脂腺・汗腺の働きは弱まり、肌の保湿力が低下します。
特に50代以降は「乾燥 → かゆみ → 掻く → 炎症 → 色素沈着」というサイクルが起きやすくなります。
「若い頃よりかゆくなった」「すねが粉を吹く」と感じたら、年齢による皮脂不足が背景にあるかもしれません。

そのため、年齢を重ねるほど「保湿を先回りして行う」ことが大切です。
かゆみが強い場合は、医師の診断を受けて、ヘパリン類似物質や尿素系保湿剤を処方してもらうのも効果的です。

◆食生活と乾燥肌の関係

食事も肌のうるおいに大きく関係しています。
以下の栄養素を意識的に摂ると、内側からの保湿力が高まります。

良質な脂質(オメガ3脂肪酸):アマニ油、えごま油、青魚など

ビタミンE:ナッツ類、アボカド、カボチャ(血行促進・抗酸化)

ビタミンC:果物、ブロッコリー(コラーゲン合成を助ける)

タンパク質:鶏肉、豆腐、卵(肌細胞の原料)

逆に、スナック菓子や加工食品に多く含まれる「トランス脂肪酸」や糖分の過剰摂取は、皮脂バランスを乱し、乾燥や炎症を悪化させます。

◆まとめ

乾燥肌やかゆみは、冬特有の環境要因に加え、生活習慣や年齢の影響も大きい不調です。
しかし、肌の仕組みを理解し、日々のスキンケアや生活を少し変えるだけで大きく改善できます。